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レトルピアノ教室
Lettle piano room
印象派の音楽
印象主義音楽・時代背景
印象主義音楽の時代は、1883年のワーグナーの死後から、1914年第一次世界大戦が始まるまでのわずか30年程の期間です。
1800年代末から1900年代初頭(20世紀)
世の中は、まさに1800年代の世紀末であり、世紀転換期。
第二次産業革命がおこり、アメリカやドイツが世界の産業の中枢に進出してゆきます。
近代化が急激に進む時代でした。
例えば、はじめて映画がつくられ、電話も普及し、エッフェル塔が建てられ、
そして、動力源もそれまでの石炭や蒸気から、石油や電気へと変わっていき、
飛行機や自動車が誕生しました。
産業が、軽工業から重工業中心へと変わっていったのです。
産業の発展により、強いものが勝ち、弱いものは負けてゆく資本社会で
独占資本主義がおこりそれを国家が阻止しようと、国家独占主義がおこり、
先進国が、自国の利益のために侵略を行おうと植民地化を目指して
ついに1914年、第一次世界大戦が始まります。
印象派の時代も同じくそこで終焉を迎えます。
印象派の音楽の特長 1.フランスで起こる
1.ロマン派の衰退
いつの時代もそうですが、人の心は、同じ事の繰り返しは、苦手です。
だんだん飽きてきて、新しいものが欲しくなります。
古典派の音楽に飽きた人が、だんだん冒険を始めたように、
ロマン派の音楽にも飽きてしまいました。
美人の奥さんをもらっても、浮気してしまう心理でしょうか?
違う刺激が欲しくなってしまったのです。
とはいえ、ロマン派でやりたいことは、大体やりつくしています。
楽器の完成度も高く、これ以上は求められません。
オーケストラの規模も、最大限に活用し、ダイナミックという点でも、もう限界です。
機能和声も、この手法でできる音楽表現はもう使い尽くされてしまったと、
多くの作曲家が思い始めます。
「ドレミ」といった音階を使った音楽への行き詰まり感です。
そう、私たちは、当然のようにも「ドレミファソラシド」で、音楽は出来ている。
と思い込んでいますが、そうでもないという事です。
私たちが普段使っている音階は、「全音階」という音階ですが、
グレゴリオ聖歌の時代は、「教会旋法」という音階でした。
ですから、絶対的なものではないのです。
「全音階」を使っていると、短調と長調のどちらかに曲はなり、調性に縛られます。
クラシック音楽は、そこから発展していったのですが、
その根本が、揺らぎ始めました。
リストは、無調宣言を晩年しています。
ワーグナーは「トリスタンとイゾルデ」で、伝統的な和声を崩してしまいました。
こういう時期に、人々は、素朴な民族の音楽耳にし、
新鮮さを感じます。
民族的なリズム、音階に新鮮さにひかれ、取り入れてみようと、いう流れに向かい始めました。
2.フランスだった理由
古典派以降は、音楽の中心は、ウィーン。
バッハの時代から、ベートーベン、ショパン、みんなウィーンに集まっています。
しかし、近代化が進むと、人々の娯楽の関心が、新しいものに向いていきます。
鉄道が通ると、移動が簡単になり、ウイーンに集まる必要もなくなり、
革命で、世の中が荒れてくると、音楽どころではなくなってしまいます。
その上、ワーグナーのやってしまったことを考えると、次が出にくくなってしまいます。
一方フランスは、ウィーンでばかり、音楽が発展していくことを良く思っていませんでした。
サンサーンスやフランクらが中心となって1871年に国民音楽教会を設立します。
フランス国籍である人のみで構成されたこの団体は、一定の成果を挙げ、
いいよドビュッシーの登場です。
印象派の音楽の特長 2.気分や雰囲気を表現する
1.なんとなく・・曖昧さ
ロマン派の音楽は、喜怒哀楽をはっきり表現しようとする主観的表現の音楽でした。
悲しい気持ち、怒りなど、時には激しい感情をダイナミックさや
物語性の描写などで表現していました。
しかし、印象派の音楽は、感情ではなく、
気分や雰囲気の表現に比重を置いています。
ドビュッシーの作品「月の光」を例あげると、
水面に映っている月の様子を、まるで絵をかくように表現しています。
月が、水面に映って、ゆらゆらと、
その様子が、見ているかのように伝わってきます。
もしこれがロマン派なら、その様子をみて、感じた気持ちを表現するでしょう。
「美しい」と感じた。自分の気持ちが、主役なのです。
でも印象派は、どう感じるかは、「それぞれ」。
個人の気持ちはどうでもいいのです。
このあいまいさが、フランス的なのかもしれません。
印象派の音楽の特長 3.全音音階の使用
1.「あいまいさ・気だるさ」を出す手法
印象主義者はこのはっきりしない、あいまいさを出す手法として、
「全音音階」を積極的に用いています。
「全音音階」は、全音のみで1オクターブを6等分した音階です。
ポピュラー音楽ではホールトーン・スケールと呼ばれます。
この音階は、半音がないので、「ミとファ」のところから、黒鍵になります。
「ドレミファ♯ソ♯ラ♯ド」
聴いていると、ミまでは、普通。現実的ですが、
ファ♯から、不思議の世界へ、行ってしまいます。
この音から、調性があいまいになるのです。
リストの言っていた、無調の世界です。
この音階から生まれる和音は、不協和音になり、結果的に和声進行も曖昧に。
私たちが、「和声学」で、うるさく叩き込まれた理論は、飛んでいってしまいます。
印象派の音楽の特長 4.色々な印象主義の作曲技法
1.形式にこだわらない
バロック~ロマン派時代生まれた、ソナタ形式や交響曲、弦楽四重奏といった形式へのこだわりを捨て、
簡潔で明快な形式になりました。
過去の音楽家は、形式ありき。
初めから、ソナタ形式で書く。と決めて作曲に取り掛かったと思います。
この時代の作曲家は、意の向くままに作曲していったのでしょう。
彼らにとって、形式は、大事なものではないのです。
2.新しい和音感
複調性
つまり同時に、複数の調性をもつ和音です。
たくさん和音を重ねるとそうなります。たとえば、ドミソシレを同時に鳴らすと、
CコードとGコードを同時に感じます。
和音をたくさん積み重ねて、複雑なコードを作っていったのです。
三全音
すなわち増四度 - 減五度 を含む和声進行、怪しさが増します。
並進行
同じ音程で同一方向へ同時に進行する動きです。
連続8度(完全八度以外)は、古典の「和声法」では、禁止項目の一つです。
3.複雑なリズムと民族音楽
ロマン派後期から、民族音楽への興味と、挑戦の結果、
複雑なリズムを取り入れた音楽が増えました。
と同時に、その複雑さは、あいまいさにつながります。
4.音色の強調
楽器の使い方が、これまでの常識に反する、独特な使われ方で、
音色を強調するようになります。
ドビュッシーは、「牧神の午後への前奏曲」で、
これまでとは全く違う使い方をしています。
フルートの楽器の特性として、高い音程を、小鳥のさぅずりのように、
軽やかにというイメージですが、
彼は、低音で、半音階を使い、推移を極力なめらかにしています。
この怪しいメロディーが、新しいフルートの魅力を伝えています。
印象派の音楽家
クロード・ドビュッシー(フランス)
モーリス・ラヴェル(フランス)
シャルル・ケクラン(フランス)
ジョン・アイアランド(イギリス)
チャールズ・グリフス(アメリカ合衆国)
ジャック・イベール(フランス)
サティ、バルトーク、ラフマニノフなども
あげる人もいます。
「一時的に影響を受けた者」もいるため、
本当に「あいまい」で、
「印象主義の作曲家」と「印象主義的な傾向のある作曲家」をきっちり区別することは難しいと言われています。
上にあげた6人でも、現在楽譜を手に入れて弾けるのは、
ドビュッシー、ラヴェル、イベールぐらいです。
絶対的に印象派といえるのは、ドビュッシーとラヴェルだけ。
彼らにしても、全曲そうとも、言いきれない部分はあります。
ドビュッシーとラヴェルの関係
ドビュッシーとラヴェルは、比較されますが、当人同士は、
ほとんどかかわっていません。
なぜなら、年が違いすぎているからです。
ドビュッシーが1811年10月22日 - 1886年7月31日
ラヴェルが1875年3月7日 - 1937年12月28日
11年、ダブっていますが、65
歳も年が離れているので、
友人にはなれないです。
ただ、
バッハとヘンデル、リストとショパンと同じように比較してみると、
この二組のように、真逆な生き方は、にた物があります。
陰と陽でいうなら、バッハ、ショパン、ラヴェルでしょう。
ヘンデル、リストは、社交的。
ドビュッシーも、女性関係が派手だったようで、行動力があったようです。
それに比べて、ラヴェルは、一生独身。
内気だったようです。
作風も、ドビュッシーは、気の向くまま。
そういう意味で、形式にこだわりません。
しかし、ラヴェルは、古典派を好み、じっくり計画を立てるタイプでした。
発表会で取り上げている音楽の解説
印象派の音楽
ちいさな黒ん坊(L.114) ドビュッシー
「マ・メール・ロワ」(M,60)1. 眠れる森の美女のパヴァーヌ ラヴェル
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